
効果の鍵は
人とハーブの関係性
この4月よりハーブティー ブランドを
スタートさせたセタユウジが
師匠である林真一郎に教えを乞いながら
ハーブ道を極めるための問答シリーズ。
話はハーブだけにとどまらず
よりホリスティックな視点から
人がストレスに打ち負かされることなく
心地よく快適に暮らすための鍵となる
さまざまなことを、
二人で探求していきます。
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| 第2回 |
効果の鍵は、人とハーブの関係性
セタ
僕ね、尊敬する林先生と近しくなって、この人本当にヤバイと思ったのが先生のメールアドレスなんです。loveherb.yashiha@(ラブハーブ、ヤシハ@…)みたいな!
ラブハーブも強烈ですがヤシハってなんですか?
林
ヤシハはね、名前がハヤシだからヤシハ、じゃなくて、実は深い意味があるの。つまり、ヤシの葉っぱなんですよ。ヤシの葉っぱとハーブ療法は切っても切れない関係なんです。インドの伝承医学の“アーユルベーダ ”や、インドネシアの薬草療法 “ジャムウ” は、古来からその処方をヤシの葉に書き記していたの。今みたいに紙もなければコピーなんてありませんからね。
セタ
どうやって書いたんですか?
林
ヤシの葉っぱを加工して木質化させたもの、見た目は木みたいな感じだね。それをロンタール、というんですが、そこに小刀で書いていくの。そこには秘密のハーブのブレンドや治療法が書かれていて、昔は王族など限られた人の間で、代々、伝承されていたわけです。僕も実際、バリ島で本物を見ましたけどね!
セタ
歴史博物館みたいなところで?
林
いやいや、シャーマンですよ!
セタ
ええ、まだいるんですか?!
林
ええ、いっぱいいますよ。
ーーハーブって一体何ですか?
林
ハーブって何って?(笑)それこそ日本メディカルハーブ協会では、「香りがあって、生活に役立つ植物」と定義しているんだけど、大事なのは、香りよりむしろ、生活に役立つってところですね。人がいて、植物があって、それはメディカルだけじゃなくて宗教的な場面もあり、それから洋服を染めるとかね、なにしろ、人の暮らしがあって、そこに役立ってくれる植物、それをハーブと言うんです。だから日本語的には、「有用植物」って言い方が近いんじゃないかな。
セタ
僕たちが「雑草」だと思ってるものも、全部ハーブと言えるのか、やっぱりただの雑草という植物なのか、そこは区分けがあるんですか?
林
あんまりい加減こと言うと怒られちゃうんだけど、まあ、僕は雑草って全部ハーブだと思いますよ。
セタ
雑草という草はないというか、みんなそれぞれに名前があるんだって話、ありますよね。
林
うんうん、植物学者・牧野富太郎のことばとして知られていて、雑草も全部役割があるみたいな話で、人間も同じくみんな役割を持ってると。もう1つはね、それこそ最近は、薬草&ハーブというくくりと、雑草&野草というのが、近づきつつあるんですね。フランスでも、ハーブを栽培しながら、同じように野草も取って食べるといった風に、近づいているの。
セタ
近づいている、とは、品種的な区分が曖昧になっている、ということですか?
林
僕はハーブの立場だからハーブ側から見ると、つまり、コーヒー → 紅茶 → ウーロン茶の順に、カフェインの量が減っていく。ハーブは基本的にノンカフェインだから、もっとマイルドです。メディカルハーブや薬草も、昔はいわゆる医薬品分類の“センナ”など、効能は強いんだけど強烈な品種もハーブとしてあったけれど、だんだんハーブは穏やかに、ソフトになっていったという流れがあるんです。
ーー漢方はどこに分類されるんですか?
林
漢方は強いです。生薬ね、漢方つまり生薬、それは基本的に強いやつですね。
ハーブのメカニズムは今の言葉では語れない
林
大昔までいっちゃえば、ハーブは女性どころか「人類の必需品」だったわけ。薬っていうものができたのはうんと最近のことだからね。
セタ
以前はみんな、薬として飲んできたもの、ってことですね。
林
そう。だから人類の歴史で見ればつい最近まで、ハーブが薬だったんです。ケミカルな医薬品ができたのも、つい最近だからね。例えばシャンプーに香りをつけるといっても、
昔はケミカルのものはなかったから、みんな日常のなかで自然のハーブを使ってたんでしょうね。要するに、必需品ということです。
セタ
じゃあ、味は、あまり追求されてはいなかった?
林
薬として飲むことを「メディカルハーブ」っていうんですが、確かに味云々、ということはないですね。
結果として、苦みが解毒にいいとかはあるんだけどね。
セタ
でもなんでハーブティー、って言うんでしょうね?「ティー」って言うからにはお茶みたいな嗜好性の要素、味を楽しむ、みたいなことはあったんじゃないですか。
林
昔、人類は何を飲んでいたかというと、水か、ハーブティーか、エール。エールは発酵させた自家製ビールみたいなものね。
セタ
ジンジャーエールのエール?
林
そうそう、だからそういう意味では
すごい歴史があるんですよ。
セタ
先生の好きなハーブは何ですか?
林
僕の好きなハーブ??(笑)ミントです。
セタ
あ、ミントですか!ミントも種類が色々ありますけど。
林
「和ハッカ」が好きですね。
セタ
和ハッカっていうのは、ポピュラーなペパーミントやスペアミントと比べてどういう感じなんですか?
林
あのね、メンソールの量が多いんですよ。だからスーッとするのが強いって感じかなあ。
セタ
そのスーッとする成分、メントールは、ミントには大体入ってるけど和ハッカは結構強い、と?
林
そうそう。さらにいうと、実はこれ、あまり知られてないんですけどハッカって日本から、世界に向けて輸出してたんですよ。
セタ
あ!聞いたことがあります。
林
もうすごいの!世界のシェアの半分以上が日本で、「ジャパニーズミント」って、それも俗称だけれど。
精油も海外に向けて、ガンガン輸出してたの。だから今でも世界中で、ハーブの本流のドイツでも、ジャパンミントは、一目置かれてますね。
セタ
先生のお好きな和ハッカは、
シングルで召し上がるんですか?
林
普通はそうですけどほうじ茶に混ぜたり、いろいろです。
セタ
それは効能じゃなくて、単純に味が好きだから、という感じですか?
林
そうですね。効能よりは、なんかやっぱりこう、ちょっとした気分転換ですね。これはあんまりお勧めはしないけどコーヒーも大好きだから
ドリップする際にミントを乗せるんです。ドリッパーのコーヒー豆の上にバサッとミント並べちゃってドリップするんです。
森野D
それは効能のため?それとも味を楽しむためですか?
林
この発想はね、楽しむとか、美味しいということで、メディカルじゃないと思うけれど。フレーバーコーヒーという言葉があるけれど、昔は「本物のハーブ」で香りをつけたわけです、ケミカルな香料じゃなくて。っていうか、
コーヒーもハーブだから。
コーヒーもハーブティーなんですよ!
だから、ハーブのブレンドっていうことで、間違いてないんですよ。
森野D
じゃあ緑茶もハーブですか?
林
もちろんハーブですよ。ジャスミン茶なんかまさにそうじゃないですか。あれはジャスミンの花とウーロン茶が半々。烏龍茶は紅茶だから。だから、
『紅茶 + ハーブ』
『ウーロン 茶+ ハーブ』
『コーヒー + ハーブ』
とかさ、全部ハーブのブレンドなわけ。
森野D
ハーブって何ですか??
セタ
ハーブってなんですか?!僕も聞きたい!
( 次の記事に続く )


効果の鍵は
人とハーブの関係性
この4月よりハーブティー ブランドを
スタートさせたセタユウジが、師匠である林真一郎に教えを乞いながら、ハーブ道を極めるための問答シリーズ。
話はハーブだけにとどまらず、よりホリスティックな視点から、人がストレスに打ち負かされることなく心地よく快適に暮らすための鍵となるさまざまなことを、二人で探求していきます。
記事の目次を見る
| 第2回 |
効果の鍵は
人とハーブの関係性
セタ
僕ね、尊敬する林先生と近しくなって、この人本当にヤバイと思ったのが先生のメールアドレスなんです。loveherb.yashiha@(ラブハーブ、ヤシハ@…)みたいな!ラブハーブも強烈ですがヤシハってなんですか?
林
ヤシハはね、名前がハヤシだからヤシハ、じゃなくて、実は深い意味があるの。つまり、ヤシの葉っぱなんですよ。ヤシの葉っぱとハーブ療法は切っても切れない関係なんです。インドの伝承医学の“アーユルベーダ ”や、インドネシアの薬草療法 “ジャムウ” は、古来からその処方をヤシの葉に書き記していたの。今みたいに紙もなければコピーなんてありませんからね。
セタ
どうやって書いたんですか?
林
ヤシの葉っぱを加工して木質化させたもの、見た目は木みたいな感じだね。それをロンタール、というんですが、そこに小刀で書いていくの。そこには秘密のハーブのブレンドや治療法が書かれていて、昔は王族など限られた人の間で、代々、伝承されていたわけです。僕も実際、バリ島で本物を見ましたけどね!
セタ
歴史博物館みたいなところで?
林
いやいや、シャーマンですよ!
セタ
ええ、まだいるんですか?!
林
ええ、いっぱいいますよ。
ーーハーブって一体何ですか?
林
ハーブって何って?(笑)それこそ日本メディカルハーブ協会では、「香りがあって、生活に役立つ植物」と定義しているんだけど、大事なのは、香りよりむしろ、生活に役立つってところですね。人がいて、植物があって、それはメディカルだけじゃなくて宗教的な場面もあり、それから洋服を染めるとかね、なにしろ、人の暮らしがあって、そこに役立ってくれる植物、それをハーブと言うんです。だから日本語的には、「有用植物」って言い方が近いんじゃないかな。
セタ
僕たちが「雑草」だと思ってるものも、全部ハーブと言えるのか、やっぱりただの雑草という植物なのか、そこは区分けがあるんですか?
林
あんまりい加減こと言うと怒られちゃうんだけど、まあ、僕は雑草って全部ハーブだと思いますよ。
セタ
雑草という草はないというか、みんなそれぞれに名前があるんだって話、ありますよね。
林
うんうん、植物学者・牧野富太郎のことばとして知られていて、雑草も全部役割があるみたいな話で、人間も同じくみんな役割を持ってると。もう1つはね、それこそ最近は、薬草&ハーブというくくりと、雑草&野草というのが、近づきつつあるんですね。フランスでも、ハーブを栽培しながら、同じように野草も取って食べるといった風に、近づいているの。
セタ
近づいている、とは、品種的な区分が曖昧になっている、ということですか?
林
僕はハーブの立場だからハーブ側から見ると、つまり、コーヒー → 紅茶 → ウーロン茶の順に、カフェインの量が減っていく。ハーブは基本的にノンカフェインだから、もっとマイルドです。メディカルハーブや薬草も、昔はいわゆる医薬品分類の“センナ”など、効能は強いんだけど強烈な品種もハーブとしてあったけれど、だんだんハーブは穏やかに、ソフトになっていったという流れがあるんです。
ーー漢方はどこに分類されるんですか?
林
漢方は強いです。生薬ね、漢方つまり生薬、それは基本的に強いやつですね。
ハーブのメカニズムは
今の言葉では語れない
セタ
林先生がおっしゃった言葉に「白黒はっきりさせないと気が済まない人には、ハーブは向いてない」と聞いたことがあり、僕もそれは言い得て妙だなと思ったわけですが、どういう意図でおっしゃったんですか?
林
それはね、ハーブが人の心と体にどのように働きかけるのかという、メカニズムの話になると、医薬品のようにはわからないことが多いんですよ。さらに言えば、わからないのではなく、すごいことが起きていて、驚きも多い。しかし、なかなか理解されないジレンマがあるわけですが。もう1つは、いろんな意味でね、グレーなところが多いんだよね。作用で言えば薬のように明確には言えない、捉えられない、何かが起きるってことは分かっているんだけど、その間にブラックボックス的部分が残るんです。ハーブのメカニズムは今の言葉では語れない、説明しきれないの。だから、はっきりした答えを求めるような質問がきちゃうと、「もうちょっと優しくなりましょう」みたいな話なんですよ。大枠で把握しておいて、と。じゃないと白です黒ですなんて、実は両方とも正解じゃない、というかさ。
セタ
逆に言えば、薬はそんなに白黒はっきりしてるんですか?
林
メカニズム的には一応、白黒はっきりできてることに、立前上はなってるよね、薬は。たとえば、このカモミールを飲んだら穏やかになれますよと言いますが、だけどそれはカモミールの側の責任を超えて、こちら受け入れ側の状態もあるわけで、そこは白か黒か決めらんないっていうことではあるんですよね。
ーーこっち(人間)の準備がいるということですか?
林
ハーブを飲む側の準備というか、こちらの“ありよう”によりますよね。お互いの関係性です。その瞬間瞬間の関係性で決まっていくから、これはこう効きます、とは言えないですね。
セタ
関係性って、どういうことですかね? 同じカモミールティーを飲んだ時に、自分がそのことを、ポジティブに捉えてるか、それとも懐疑的に捉えてるかとか。
林
まったくその通り、ピンポンですね。
ーー体調も影響しますか?
林
ありますね。期待感とかね。
セタ
あ! 僕、それはすごく大きい気がしますね。
林
そうそう、セタさんは多分、そこすごく理解してるよね。
ーーハーブは期待して飲むもの?
セタ
期待します(笑)かつての僕のように、そもそもローズマリーは好きじゃないと拒絶しちゃうとダメです。あと薬のように飲むっていうのとも、またニュアンスが違うというか。
ーープラシーボ効果?
セタ
プラシーボはあると思います。でも、林先生がさっきおっしゃった方がしっくりきますね。自分側に受け入れ体勢があるかどうか、ハーブに対する態度にも関係するかと。僕はすっかりハーブの世界にハマっちゃったんで、受容体ができたというか、ハーブに開発されたような気がします。最初は味もよくわからなかったのに、微差な味わいを感知できる舌ができてきたっていうか。だんだんハーブの面白さが分かってきたので、だから皆さんにもぜひ、ハーブの世界を知ってください!
林
ね、みんなに知ってもらいたいね。
セタ
それがこの『ホーリー・マガジン』の目的です。
林
いま、セタさんが「開発された」って言ったでしょ。僕はこう思うわけ。人間も自然のものじゃないですか、自然のものと自然のもの、つまり生き物と生き物、みたいな話だから成立するっていう感じを持ってるのよ。
セタ
確かに! ハーブティーを飲んでると、心地がよくて、気持ちいい、納得感があることが、ハーブティーを飲む理由かもしれないですね。単純に味が美味しいとか、効能がいいことも大きいんですけど。それだけじゃなくて、ハーブを飲んでると気分がいい・・・ん〜、ハーブってどう体に効いているんですか?
林
あは、ハーブはどう体に効いているかですか(笑)つまりね、鍵と鍵穴なんですよ!
( 次の記事に続く )
